ノーベル賞も悟りも、一つ一つ、コツコツと

先日、ノーベル賞の発表がありましたね。
今回も日本人の方が何名か受賞されたとのことで、大変喜ばしいニュースです。
さて、ノーベル賞に関連して、少し興味深いネット記事を読みましたので、その内容を交えながら、お伝えしたいと思います。
韓国は、すぐに成果を求める
その記事は、韓国と日本におけるノーベル賞受賞数の差について考察したものでした。
韓国のメディアによると、日本はこれまでに30個以上のノーベル賞を受賞しているのに対し、韓国は現時点で2個にとどまっているそうです。
この差がなぜ生まれたのかについて、韓国のメディアは「科学技術のインフラに問題があるのではないか」と分析しています。
つまり、若い研究者や学者が、生活費の心配をせずに研究に没頭できる環境が、韓国には整っておらず、それがノーベル賞に結びつかない要因ではないかというのです。
一方で、この記事を読んだ日本の学者の方が「別の原因が、あるのでは無いか」と自身の見解を述べていました。
その方は、日本人の「忍耐強さ」や、「地道に努力を積み重ねる姿勢」が、ノーベル賞受賞の背景にあるのではないかと指摘しており、私も非常に的を射た意見だと感じました。
今回、ノーベル生理学・医学賞を受賞された坂口志文さんの座右の銘は「一つ一つ」だそうです。
この言葉は、「コツコツと積み重ねる」という意味にも通じるものがあります。
韓国では、この「一つ一つの積み重ね」、つまり地道な努力が苦手とされる傾向があるようです。
一度に成果を出そうとする、文化や国民性があるとも言われています。
それに対して日本では、「足掛け○年」といった表現に象徴されるように、長い時間をかけて物事に取り組むことが美徳とされてきました。
たとえば、寿司職人や工芸職人などが、10年以上の修行を経てようやく一人前と認められるという話は、よく耳にしますよね。
一方、韓国では料理人であっても、長年修行を積むという文化があまり根付いていないようです。
ある日本料理店の店主によると、ソウルで修行を始めた60人のうち、1年間続けられたのはわずか2~3人だったそうです。
このように、韓国では「すぐに成果が出ないこと」に対して抵抗感がある傾向があり、それがノーベル賞受賞の難しさにもつながっているのではないか、と考えられるということです
ノーベル賞を受賞するということは、何十年にもわたって地道に研究や活動を続けてきた結果です。
日本人の「コツコツ精神」がそれを支えている一方で、短期的な成果を求める韓国の気質は、受賞に結びつきにくいのかもしれません。
成果が出ようが出まいが、コツコツと続ける
この話は、実は「心のあり方」にも通じるものがあると、感じています。
私のカウンセリングセッションにいらっしゃる方の中にも、「韓国的気質」を持っている方が多く見受けられます。
つまり、「早く成果を出したい」「悩みをすぐに解決したい」と強く願う方々です。
そのような方には、最初に「すぐに結果を求めるのではなく、コツコツと心を見つめていきましょう」とお伝えしています。
心の癖というのは、これまでの人生で何十年もかけて形成されてきたものです。
仏教的に言えば、前世や過去生から引き継いだ心の癖もあるとされます。
それほど長い時間をかけて作られた心のパターンが、
たった1回とか、数回のセッションで急に変わると考えるのは、やはり無理があります。
ですから、地道に心と向き合っていくことが大切なのです。
最初は皆さん納得してくださるのですが、2回目、3回目とセッションが進むにつれて、
「まだ苦しい」「結果が出ない」と焦りを感じる方も多くいらっしゃいます。
やはり、短期的な成果を求める傾向があるのだと感じます。
タイトルにも「悟り」と書きましたが、悟りというのは、少し修行したからといって、至るものではありません。
毎日同じ修行を繰り返し、心を観察し続けることで、ようやく「苦しみとはこういうことだったのか」「こうすれば楽になるのか」と気づくことができるのです。
たとえ悟りに至らなくても、日常生活の中で苦しみから解放され、心を成長させていくためには、やはり「コツコツ」が欠かせません。
これをお読みになっている方の中にも、「早く成果を出したい」と思っている方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、その思いがかえって逆効果になることもあるのです。
瞑想についても同様です。「成果を出したい」と思って始めると、かえって成果は得られません。
禅の言葉に「ただ座る」というものがあります。
成果を感じても感じなくても、ただ座る。ただ瞑想する。
それを繰り返すことで、やがて智慧が生じ、最終的には悟りに至るのです。
つまり、成果が出ようが出まいが、とにかく「コツコツと続けること」。
これこそが、苦しみから解放されるために非常に大切なことなのです。