お悩み例① 正当に評価されない
クライアントさんのお悩み例をご紹介します
いつも不当に扱われる
あるクライアントさんの話です。
パートとして働いているのだが、自分は経験豊富で正社員と同じように仕事ができる自信がある。
でも会社で自分の能力を認められないことが多く、不当に扱われていて不満だ。
というお悩みでした。
お話を聞いていくと、今だけでなく、以前、別の会社で正社員として働いている時も不当に扱われていると感じることが多かったとのこと。
更に、会社だけでなく、趣味のサークル活動などでも同じように感じていたことが多いことが分かってきました。
このクライアントさんは、どのコミュニティに属しても、誰と接していても、「能力が無い」と判断されているように感じ、本当の自分を認めてもらえない、と常に不満を抱えるのです。
人から認められていないと感じるので、「優秀な自分をアピールしなければ」と意気込み、ミスを更に評価が下がらないよう、気を張って生活をされていました。
「それは、お辛いですね。毎日お疲れになりますよね。」
とお伝えしたら、涙を流されました。
自分では意識していなかったそうですが、初めて自分が辛い想いをしていたのだと気が付いたそうです。
子供時代に作った思考パターン・価値観
カウンセリングを続けるうちに、子供時代に原因があることが分かってきました。
ご両親は、いつも4歳年上のお姉さんと比べる言動をしていたそうなのです。
「お姉ちゃんと違ってダメだねえ」
「お姉ちゃんはできるのに、そんなこともできないの」
「お姉ちゃんも我慢しているのだから、あんたも我慢できるでしょう。」 etc
子供の頃の4歳の開きは大きいものです。
お姉さんはできても、4歳年下のクライアントさんができないのは当たり前のことです。
クライアントさんは、幼稚園や学校ではむしろ優等生で、いつも先生に褒められ、他の児童の模範的な役割やリーダー的な役割を任されることが多かったそうです。
家の中と外とで、クライアントさんの評価が正反対だったのですね。
家の外では認められ褒められるのに、家の中ではダメ出しされ怒られる。
クライアントさんは、自分には能力があるはずなのに、それを認めない家族に強い不満、憤り、怒り、寂しさ、悲しさなどの感情を持つようになります。
そして、次のような思考パターン・価値観を作ってしまったのです。
自分は正当には評価されない。
人は、本当の自分を見くれいない。
人は、自分のことをわかってくれない。
こんな思考パターン・価値観を作って成長したクライアントさんは、常に人に不満を抱くようになりました。
両親に認められなかったクライアントさんは、両親だけでなく、全ての人が自分を認めない、と思い込んでしまったのです。
そんなクライアントさんは、ちょっと注意されただけなど、他の人なら気にならないような些細なことで、
「正当には評価されない。わかってくれない。」
と感じてしまいます。
そして、認められない悔しさ、寂しさ、悲しさを抱え、いつもどこか満たされない人生を歩んできました。
思考パターン・価値観を手放せない
このクライアントさんの場合は、家の外では認められていたので、「自分はダメな人間ではないはずだ」と思うことができましたが、
家の外でも認められないと、完全に「自分はダメ人間なのだ」と思い込む可能性があります。
ところで、子供時代に作られた思考パターン・価値観は、その時にはメリットがあります。
メリットを体感しているので、大人になってもなかなか手放せずことができないのですね。
今回の場合、子供の頃は、
「両親の言うことが間違っている。自分は正当に評価されていない。」
と思うことによって、自己評価を下げることを防ぐメリットがあったと推察されます。
このように思う事で、「自分はダメな人間ではない」と自分を鼓舞できたのですね。
そして、無意識の領域ではメリットを理解しているので、成長しても思考パターン・価値観にしがみついてしまうのです。
でも、親から独立した今となっては、「人は自分を正当に評価しない」と思う必要性は失われました。
むしろ、正当な扱いを受けている時でも、「自分は正当に評価されていない」と思い込んでしまうという、害のあるものに変わったのです。
思考パターン・価値観に気づいた後は
子供時代からの思考パターン・価値観に気が付いたクライアントさんは、楽に人生を生きられるように、子供時代の心の傷を癒し、新たな思考パターン・価値観を作る作業に取り組んでいます。
また同時に、家族以外の人には認められ、受け入れられていたことを思い出したことで、以前より人を信頼できるようになっていきました。
このように、子供時代に作った思考パターン・価値観は、人生に大きな影響を及ぼします。
カウンセリングでは、自分がどのような思い込みに縛られているかを紐解き、心を解放するサポートをしています。