アダルトチルドレンが親と向き合う時③

前回、自分の欲求を手放して母を受け入れたら、母も自分の欲求を手放して私を受け入れるようになり、関係が改善されたと書きました。

しかしこれはあくまで、母の機嫌が良い時に限られます。
そこで今回は、母が変わった理由と、次に私が試した対応について書きたいと思います。

 

なぜ母は変わったのか

機嫌が良い時に限られますが、母は確実に変わりました。
常に子供を自分のルールに従わせようと躍起になっていたのが、心が広くなり、ある程度は、子供が自分のルールから逸脱しても、口出ししなくなりました。

アダルトチルドレンの特徴①で書いたように、母の母、私にとっての祖母は、それはそれは激烈な人でした。
怒ると子供である母を家に残して、何日も家に戻らなかったりするのですから。
母はずっと、自分の欲求を受け入れられず、否定される子供時代を過ごしたのです。

更に、結婚してからも我慢の連続でした
父は、寛容とは真逆の自分勝手で専制的な性格。
母の子供時代の苦労は想像するしかありませんが、結婚生活の苦労は私もずっと見てきたのでよくわかります。

恐らく母の人生で、丸ごと受け入れられた経験は、ほとんど無かったはずです。
心は疲れ、これ以上理不尽な扱いを受けないよう、心に壁を作っていたでしょう。

壁があると、人の気持ちを察する能力が低くなります。
だから、子供がどう感じているかに斟酌せず、自分の思い通りに子供を動かそうとしてしまうのです。

前回書いたように、私が取った対応は、「自分が許容できる範囲内で、母を丸ごと受け入れる」ことでした。
初めて欲求を受け入れられるようになって、母の心が落ち着き、心に張り巡らせていた壁が少しずつ取り除かれていったのだと思います。
壁がなくなるにつれて、他人の心の機微もわかるようになっていったのでしょう。

私は母と離れて暮らしていますから、母と会うのは年に数回に限られます。
ですから、母が変わるまでに数年かかりました。
もし、頻繁に母に会える環境だったら、恐らく数か月くらいで母は変わったのではないかと思います。

母が不機嫌になる時

何度も書いていますが、母が変わったのは、あくまで「機嫌が良い時」に限られます。
機嫌が悪くなると、とたんに理不尽に怒り狂ってきます。
そこで次に、「どういう時に母は不機嫌になるのか」を丹念に観察しました。
観察するうちに、不機嫌になるパターンが分かってきます。

母は、やることが多くなりすぎると、すぐに戦闘モードに入ることがわかりました。
「これをやらなければ、あれをやらなければ」ということで頭が一杯になり、人を気遣う余裕が全くなくなるのです。
このモードに入ると、人を人とも思わないような、ゾンザイな対応をとってきます。
平気で、人を傷つけるような罵詈雑言も発します。

母が不機嫌になった時の対応

当初、母が戦闘モードに入ったら、母を楽にしてあげようと、できる限り手伝うことにしました。
とにかく、母の負担を軽くしてあげようとしたのです。
そして、母にどれだけ理不尽な扱いを受けようが、その理不尽な母を丸ごと受け止めようとしました。

でも、残念ながらこれは逆効果でした。
不機嫌な時の母は、人に手出しをされることも、気を遣われるのも、癇に障るらしいのです。
何とか母を楽にさせてあげたいと頑張れば頑張るほど、母を受け入れようとすればするほど、母の怒りは増し、私は理不尽に怒り狂われ、深く傷つきました。

結局、何年も試行錯誤した結果、母が戦闘モードに入ったら、近づかずに放っておくことが一番良い対応方法だと分かりました。
母は不機嫌な時、構われるのではなく、1人で放っておいて欲しかったのです。
こんな簡単なことも、数年、試行錯誤しなければわかりませんでした。

私は性格上、困ったり苦しんでいる人を見ると、何とか手助けしたくなります。
これは、不機嫌な母にとっては、おせっかいでしかなかったのです。

「不機嫌な母を放っておく」。
これが母を尊重することであり、不機嫌な母を受け入れることなのだと、ようやく理解できました。

母との関係改善を始めて10年余り

母も私自身も、大きく変わった10年でした。
10年前の母は、確固たる価値観を持ち、その価値観に外れる人は、認めることができませんでした。
特に私たち子供に、自分の価値観を押し付けてきました。

でも、私が母を受け入れたことで母は変わり、「価値観は人それぞれ違う」ということを理解し始め、以前より大らかになりました。
母が大らかになったことで、心の触れ合いが増え、内面の深い部分で理解し合えることが多くなっています。

まとめ

前回から2回にわたって、私の例をご紹介しました。
10年あまり、母との関係性を模索し、今はかなり良好な関係を築けるようになっています。

それでも、たまに理不尽にキレられることが今でもあり、私は傷ついて泣いてしまったりします。
その度に、自分の言動のどこに母をキレさせる要因があったのか、母はどのような感情を抱いているのか、母を受け入れるにはどうしたら良いかを分析し、次回の対応方法を考えてます。
今も、母との関係は、試行錯誤の中にあります。

何度も書きますが、アダルトチルドレンである親との接し方に、正解はありません。
あなた自身や親のメンタルの状態・メンタルの成長具合、親子の関係性、あなたのパートナーの協力等によって変わってくるからです。
私の例は、あくまで参考程度に捉えて下さい。

母との関係について書いてきましたので、次回は、父とどのように接しているか、簡単に書きたいと思います。