怒りにくい体質へ

短気な人は頻繁に怒りますよね。
怒りを手放しても手放しても怒りが生じてしまう人は、根本的に怒りにくい体質にする必要がありそうです。
そこで今回は、お悩み例として、カウンセリングを受けることで怒りを感じにくくなった例をご紹介したいと思います。

怒りが強い人は満たされていない

強い怒りを抱いたり、短気で怒りやすい人は、根本的に満たされない想いがあり、常に欲求不満状態になっています。
怒りっぽい人、身に覚えはありませんか?
何か満たされない想いを抱えていませんか?
慢性的な欲求不満は、子供の頃からの満たされない想いが蓄積されて生じます。

特に、親への欲求不満が大きなウェイトを占めている場合が多いです。
別のことで怒っているように見えても、心の奥底(無意識・顕在意識)では親に対して怒っていた、なんてことがよくあるのです。

子供時代、親に押さえつけられていた

Aさんは、些細なことでも自分と異なる意見を言われると強い怒りを感じ、ケンカを売ってしまうなど相手を攻撃してしまうことがあります。
相手は、単純にAさんと意見が違うので自分の意見を言っただけなのですが、Aさんにしてみると、自分を否定されたように感じてしまい、怒りを覚えてしまうのです。
そんな好戦的なAさんは人と上手くコミュニケーションが取れず、人と軋轢が生じるなどトラブルを起こしたり、孤立することも多いそうです。

Aさんのご両親はどちらも子供に対して支配的で、親の意見に従わない子供は「反抗的」とみなして、激しく怒ったそうです。
Aさんは子供の頃から気が強く、Aさんの意見を押さえつけようとするご両親にいつも食って掛かるのですが、そうするともっと激しく親は怒ってくる。
今ではご両親と会うのは年に数回程度ですが、それでも、ご両親は何かと自分の意見を押し付け、Aさんの言い分を無視することがあるそうです。

親への怒り

Aさんは子供の頃、ご両親に怒られるたびに、暴れだしたくなるような衝動を抱えていたそうで、実際に泣き叫んだり暴れたりしていたそうです。
カウンセリングでは、その頃の気持ちを想い出してもらいました。
すると自分を認めてくれないことへの憤り押さえつけられることへの屈辱感、そんな怒りの感情を抱いていたことが分かりました。

想い出すうちに、当時の怒りがドンドン出てきて、カウンセリング中にAさんは怒りで身体が震えたほどです。
このように、過去の怒りが自然に出てきた時は、出し切ってしまうのが得策です。

ただし、過去の怒りではなく、現実に感じる怒りは、増幅しないように手放して下さい。

過去の怒りを出す

そこで、過去の怒りが出てきたら、抑えないで出し切ってしまうようにアドバイスをしました。
怒りの発散方法は人それぞれですが、下記のような方法が考えられます。

・枕やぬいぐるみを殴る
・使わない食器を床に叩き付けて割る
(ビニール袋に入れて割ると、後片付け不要で簡単です)
・カラオケルームなどで大声で怒りの言葉を叫ぶ
(ふざけんな!私の意見を聞け!押さえつけるな!etc)
・紙に怒りの言葉を書きなぐって、その紙をピリピリに破る

蓄積された怒りは膨大で、しばらくの期間、Aさんはことあるごとに過去の怒りを発散する必要がありました。

怒り以外の感情

過去の怒りをある程度出し切ると、普段の感情も大分落ち着いてきました。
以前ならすぐに怒りに繋がったことでも、あまり怒らなくなっていきます。
そこで今度は、子供の頃、怒り以外にどんな感情を抱いていたか、探っていきました。
Aさんは、次のような感情を抱いていたことがわかりました。

  • 自分の言い分を聞いて欲しい。私の事を認めて欲しい、受け人れて欲しい。という願い。
  • お母さんやお父さんの言う通り、自分は反抗ばかりするダメな人間だ、という自己否定感。

Aさんは、このような子供の頃の感情を、今でも引きずっていることに気が付きます。
自分と異なる意見を言われて怒った時には、子供の頃の感情が吹き出し、傷ついていたことを理解できるようになりました。
願いが叶えられずに欲求不満になって怒ったり、心の奥底に抱いている自己否定感を刺激され「いや、自分はそこまでダメではないはずだ」と反発して怒りが生じていたのです。

子供時代の傷を癒す

Aさんは子供の頃、理不尽な対応で傷つき、欲求不満や自己否定感を強めていきます。
カウンセリングでは、そんな子供の頃の感情を受けとめ、慰め、励ます作業を行いました。
Aさんの心の傷は、徐々に癒えていきました。
今では、自分と異なる意見を言われて心がざわっいても、
あ、子供の心が反応している。
と捉えられるようになり、怒りに繋がることは減っていきました。

Aさんはカウンセリングを通して、子供時代から蓄積された怒りを出し、心の傷を癒すことで、怒りやすい体質を変えることができたのです。