何でも「自分が悪い」と悩んでしまう
うつ・アダルトチルドレンに共通する特徴の1つとして、
自分自身への関連付け・個人化
があります。これは
- 自分に関係がないとわかっていても、自分に関連付けて考えてしまう
- 何か悪いことがあると、自分のせいだと感じてしまう
というものです。
あなたも、何でも自分に関連付けて、悩みを増やしていませんか?
個人化の例
Aさんは、離れて暮らすご両親がご高齢なので、時間を見つけてはたびたび帰省して、様子を見に行っていました。
ところが、ここ数ヶ月は仕事が忙しくて、帰省する余裕がありませんでした。
そんな折、母親が歩いている途中に転んで腕を骨折してしまいます。
Aさんは、
「自分が定期的に様子を見に行けなかったから、こんな事態になってしまったのだ」
と自分を責めていました。
ご両親は高齢ではあるものの健康で、今のところは特に面倒をみる状態ではないとのこと。
2人で遊びに出かけることも、頻繁にあるそうです。
そのような状態なら、Aさんをはじめ誰かが張り付いて様子を見る必要もありませんから、事故の責任がAさんにあるとは思えません。
しかしAさんは、「自分のせいだ、自分がいけなかったのだ」と自分を責め、苦しんでいました。
このように、何か良くないことが起こった時、本来は自分には関係ないのに、自分に責任があると考え、
強い罪悪感や自責の気持ちで苦しむのが特徴です。
これが繰り返されると、絶望感を抱いて抑うつ状態になることもあります。
個人化に自分では気がつけない
周囲からすると、「なぜあんなに自分のせいにするのだろう?」と不思議に思うほどですが、
個人化をしている当の本人は、心から自分に全ての責任があると考えているケースもあります。
これは、視野が極端に狭くなっている状態です。
自分以外にも原因の可能性があることに、思考が動かないのです。
Aさんの場合も、原因は「単に母親の不注意」だった可能性があるのですが、そのようなことは考えてもみなかったのです。
このように、個人化していることに、当の本人が全然気がついていないことも、特徴の1つです。
何でも「自分のせいだ」と思うようになった原因
Aさんの母親は、「育児をしながら仕事を続けたい」という想いが強い人でした。
でも、Aさん出産後、育児の協力を申し出ていた姑が、「やっぱり遊びたいから孫の面倒は見ない」と言い出した為に、育児に専念せざるを得なくなって会社を辞めました。
今でも母親は、「あの時、お義母さんが面倒を見てくれたら、仕事を続けられたのに」とグチを言うそうです。
母親は決してAさんのせいだと言ったことはありません。
でも、母親の言葉を子供の頃から聞いていたAさんは、何となく、
「母親が仕事を辞めざるを得なかったのは、自分のせいだ」
と感じるようになったそうです。
自分の誕生によって母親の自由を奪ってしまったと思い、罪悪感を抱くようになったのです。
Aさんは繊細な心の持ち主なのでしょう。
子供心に母親の気持ちに敏感で、悲しむ母親を想うあまり、責任を自分でかぶってしまったのです。
大人になってもこの傾向は続き、何か問題が起こると、
「自分のせいだ」と感じるようになります。
Aさんは、このような、子供の頃に作りあげた思考パターンによって苦しんでいたのです。
カウンセリングを受けて、Aさんは自分の思考パターンに気が付き、気持ちが整理されていきました。
個人化を防ぐ方法
何か良くない事が起こったら、まず、冷静に論理的に状況を分析しましよう。
原因の可能性を、思いっくだけ書き出してみて下さい。
本当にあなただけに原因があるのか、他の原因はないのか、よく考えてみる必要があります。
例えあなたに責任が有ったとしても、他の原因が絡んでいる可能性もありますから、そのこともよく分析してください。
周囲の人に、あなたの責任の有無を聞いてみるのも良いですね。
また、原因究明以上に大切なことは、対応策を考え実行することです。
実際Aさんは、カウンセリングで気持ちが整理されて落ち着いた後は、冷静に対応策を考え、実行に移していました。
- 職場に事情を話して仕事の都合をつけてもらい、2週間に1回は帰省してサポートする
- 実家の近所でサポートしてくれそうな人に頼み、父親やAさんだけでは不足する部分を補ってもらう
- 家事代行サービスを調べ、いざというとき利用できるように準備しておく
このような対応策を考え、実行することで、自分への責任や自己嫌悪といったものから解放され、Aさんはイキイキと生活できるようになったのです。
まとめ
過度に自分に責任があると考える、うつ・アダルトチルドレンは多いです。
ラクに生きる為には、なぜ、自分が過度に責任を感じるようになったかを理解する必要があります。
理解できたら、冷静に論理的に状況を把握して下さい。
そして、積極的に対応策を考え、実行に移すクセをつけて下さいね。