心の適切な扱い方

 

 

以前、こんな話を聞いたことがあります。

 

小学校1年生くらいの女の子が、おもちゃ屋さんで、ステキなおもちゃを目にしました。

早速、女の子はおもちゃを買ってもらうように、お父さんにおねだりすると、お父さんは、

「1週間、欲しい気持ちが変わらなかったら、買ってあげるよ」

と言いました。

 

女の子は、毎日おもちゃ屋さんに行き、近いうちに自分の物になるであろうおもちゃを眺めに行ったそうです。

 

そして、1週間後・・・

 

 

女の子は、お父さんに言いました。

「あのおもちゃは、もういらない。
毎日、おもちゃ屋さんで見ていたら、満足しちゃって、そんなに欲しいと感じなくなっちゃった」

 

 

心は移りゆくもの

このお父さんの教育は、素晴らしいですね。

「心は変化していく」

という、普遍的な真理を、娘に自分で体感させたのですね。

 

私も似たような経験があります。

カウンセラーをする前、会社員だった頃、体調不良で休職することになりました。

 

休職すると、お給料は激減しますから、支出を見直さなければなりません。

それまで、必要だと思う物は、すぐに購入していました。

 

でも、休職してからは、例え100円の物であっても、

「1ヶ月様子を見て、それでも必要だと思ったら買う」

というルールにしました。

 

すると、当初

「欲しい!必要だ!」

と強く感じいた気持ちは、しばらくすると、

 

「必要ない」

と変化していったのです。

 

ですから、それまで短絡的に買っていた物の多くを、

購入しなくて済むようになりました。

 

こういった、物欲に対する想いだけではありません。

 

皆さん、5か月前と同じ気持ちで、ウクライナ情勢を見ているでしょうか?

 

2月下旬から3月にかけ、私は非常に、胸が痛くなる時ありました。

でも、今は、ウクライナ情勢のことを、考えもしない時間のほうが、圧倒的に多いです。

考えが生じても、2-3月のような、胸の痛みはありません。

 

 

何が生じても、放っておく

好き・嫌い・楽しい・嬉しい・憎い・焦り・不安・感動・喜び。。。。

 

私達は、日々、様々な想いが生じます。

でも、どれも長続きはしません。

それこそ、瞬間瞬間、消えていくのです。

 

カウンセリングの場で、クライアントさんは、

「悩みの中身」

に焦点を当てる必要があると、思っていらっしゃるでしょう。

 

でも、実際は、何に悩んでいるかは、さして重要ではありません。

 

親のことで悩んでいようが、会社の上司のことで悩んでいようが、自己肯定感で悩んでいようが、

大差ありません。

 

「何かにしがみついている・執着している」

 

ことが、問題であり、苦しみなのです。

 

例えば、

「親に分かってもらえなくて悲しい」

と感じても、

そこにしがみつかず、放っておけば、悲しみはすぐに消えて無くなります。

 

「上司が怖い!」

と感じても、一瞬のことです。

 

心は、放っておけば、自然と静まっていきます。

 

でも、

「親がこうでああで」

「上司はああでこうで」

と、考えを膨らませ続けると、苦しみが長引いたり、新たな苦しみが生まれたりします。

 

心は絶えず変化していく

 

という真理を理解し、

 

心を放っておく

 

ということが、心の安定には、とても大切になります。

 

ですから、カウンセリングでは、

お悩みの中身について時間を取るよりも、

 

何かにしがみつかない、心に生じたものを放っておくコツ

 

に重点を置いて、お伝えしています。

 

あなたは、何かにしがみついて、かえって心の苦しみを増やしていませんか?

 

 

さて、一方で、放っておいては、いけないこともあります。

これについては、次回のコラムでご紹介しますね。