三歩進んで二歩下がる

水前寺清子さんの「三六五歩のマーチ」の歌詞です。

一日一歩 、三日で三歩、三歩進んで、二歩さがる

カウンセリングでは、クライアントさんが、三歩進んで二歩下がりながら変わっていくのを感じます。

 

人は一直線には成長しない

心理療法に限りませんが、人間は一定のスピードで成長するわけではありません。
成長の過程は真っ直ぐな直線ではなく、不規則な曲線になります。
これは「成長曲線」と言われています。

メンタルは良い状態と悪い状態を繰り返す

生きずらさを改善する時も、同じように、良い状態悪い状態を繰り返しながら、長い目で見ると上向いているのが実感できるものです。
カウンセリングを続けていると、順調に状態が上向く時期が続くことがあります。
そんな時、「自分は変わることができたんだ!」と喜んでいると、またメンタル不調なってしまう。
一時的に良くなったっていたものだから余計にガッカリする、なんてことが少なくありません。

私は、非常に単純な性格でして、ちょっと良いことがあるとすぐにテンションが上がり、ちょっと好ましくないことが起こるとテンションがダダ下がる傾向があります。
カウンセリングを受け始めた最初の1年くらいは、このテンションに翻弄されました。
自分の無意識・顕在意識に気づけるようになると、「私は完全に心の問題が分かった」と思って有頂天になり、その後、壁にぶつかって落ち込む、そんなことを繰り返していました。
こんなことを何十回も繰り返したことで、次のことが身に染みて分かってきました。

  • 状態は常に変化していて、良い状態と悪い状態を繰り返す
  • 心は一朝一夕には変わらない

今は、心の問題でも身体の問題でも、状態によって一喜一憂することをやめました。
良い状態、悪い状態に一喜一憂するのではなく、平均値を上げることが重要なのですね。

今日、調子が良かったから喜ぶのではなく、調子が悪かったから落ち込むのではなく、良い時も悪い時もあると大きな心で受け止めることが大切です。
変化は、数週間、数か月くらいの単位で実感できるものです。

一時的に停滞することもある

何かを習得する時には、進歩が止まって、横ばいの状態になることがあります。
これは「プラトー」という、一時的な停滞状態です。
例えば、ダイエットをすると、最初は面白いように体重が減るのに、ある程度続けると、体の状態を一定に保とうとする働きによって代謝が落ち、体重が落ちにくくなる時期がきます。

心理療法の最中にも、このような停滞状態になることがあります。
その時に、「自分はこれ以上変われないんだ」と諦めないで、「そんな時期もあるさ」と気軽に考えることが大切です。
ブラトーを打破する為に、違うカウンセラーのカウンセリングを受けてみるなど、別の方法を試してみるのもおススメです。

抑圧された感情が解放される時にも注意

カウンセリングを続けると、過去の抑圧された感情が出ることがあります。
抑圧された感情が解放される時で、簡単に説明していますので、読んでみて下さいね。

怒り、不安、恐怖心など、過去に直視できなくて抑圧してしまった感情が、心理療法を行うことなどで解放されると、その時の感情が生々しく蘇ってきます。
抑圧された感情はとてもエネルギーが強いです。
解放されるときは、怒りが爆発したり、号泣したりすることが少なくありません。
そんな時、抑圧された感情だと気が付かないと、現実に感情が荒れ狂っていると錯覚してしまい、感情に巻き込まれて、メンタル不調を招くこともあります。

心理療法を行っている時は、
「抑圧された感情が解放されて、一時的に感情が乱れることがある」
ということも、理解しておく必要があります。

まとめ

目の前の問題を解決するだけでなく、生きづらさを改善し、悩みの少ない人生を送れるよう体質を変えるには、ある程度の時間がかかります。
その期間は、良い時もあれば悪い時もあります。
停滞する時もあります。
悪い状態の時は、辛さを感じることもあるでしょう。
そこで挫けないためにも、人が変わる過程は「三歩進んで二歩下がる」のが当たり前なのだと考えて下さい。
心は一朝一夕には変わりません。
気軽に気長に心と付き合いましょう。