上手な人間関係を築くコツ(中編)
前回は、上手な人間関係を築くコツとして、次の2点をご紹介しました。
①人間関係で問題が起こるのは、ごく当たり前で「自然」なこと。
焦ったり、自分や相手を責めるのではなく、建設的に問題を解決する方法を考え、実行する。
②「ちょうど良く」バランスの取れた関係を目指す。
全てが上手くいく、そんな人間関係は存在しない。
「全く問題を起こさないようにしよう!」
と極端に考えるのではなく、
お互いの考え方が違っても、「ちょうど良く」妥協点を探す。
全く相手に期待を抱かないのは無謀なので、
過度に期待しすぎず、「ちょうど良く」相手に期待する。
今回は、違う視点から、上手な人間関係を築くコツをお伝えします。
自分の気持ち・感情に気づく
人間関係でつまづいた時、私たちは
- 相手はどうして、あんな言動をするのだろう?
- 相手は、私のこと、どう思っているのだろう?
などと、相手に焦点が向いて、その人を理解しようとします。
でも、多くの人は、まず、自分の気持ち・感情に気づいていないのです。
その為に、不要な問題を起こしてしまいます。
例えば、「あの人は、何であんな言い方をするんだ!」と怒りを感じた時、その裏に、どんな気持ちがあるか、気づいていますか?
こういう場合、大抵は、
優しい言葉をかけて欲しい、自分のことを気遣って欲しい
こんな願望を持っていて、でもその願望が叶えられないことで、失望感や悲しみを感じています。
願望や期待、失望感や悲しみといった感情に気づかず、人は相手に対して怒りを持ってしまうのです。
でも、自分の本当の気持ち、願望や期待や失望感や悲しみに気づけば、
そっか、私は人に期待して、でも叶えられなくて、悲しさを感じているのだなあ
と理解できます。
そうすれば、相手に対しても、怒りをぶつける代わりに、
もう少し、優しい言葉遣いをしてもらえると、助かります
などと、自分の願望・期待を、素直に表現することができ、人間関係が円滑に回るようになります。
また、自分の気持ち・感情に気づいていない時は、他の人のことも見えていません。
自分の気持ちがわからない人は、人の気持ちに気づくことはできないのです。
逆に、自分の気持ち・感情に気づいている人は、人の繊細の気持ちにも気づきやすくなり、共感力が高まります。
- 人はなぜ、あんな言動をするのだろう?
- 人は、どう思っているのだろう?
こんな疑問が出たら、まずは、自分の気持ち、感情を探ってみて下さい。
嫌いな人がいる場合の対処法
誰にでも、嫌いな人、いますよね?
人を嫌う場合、2種類の苦しみが生じます。
① 過去に嫌なことをされた、嫌な言動をされた、というように、相手のことを嫌う、他者否定
② 嫌な気持ちになっている自分を嫌う、自己否定
実は、人を嫌う場合、その人を嫌っている時よりも、
「人を嫌っている自分が嫌い」と自己否定してしまうことのほうが、自分を苦しめます。
他者否定より、自己否定のほうが、苦しみは大きいのです。
この事実を、よく覚えておいて下さいね。
そして、どちらの「嫌い」に対しても、その気持ちを消そうとしないで受けとめてみて下さい。
寄り添って下さい。
「あの人嫌いだなあ」
「人を嫌う自分は、もっと嫌いだなあ」
こんな風に、嫌な気持ちは、誰しも生じるものです。
その気持ちを否定せず、ただ、受けとめて、共にいて、見守って下さい。
すると、「嫌だ」という気持ちは「過去」のものになって、
受けとめ、共にいて、見守っていることが「今」になるのです。
人のことが、自分のことが、「嫌い」という気持ちが昇華されるのです。
「嫌い」が「受容」に変化するのです。
こうなると、人間関係にも少なからず変化が生じてきます。
「嫌い」という気持ちが生じたら、ぜひ「受容」に昇華させて下さいね。