上手な人間関係を築くコツ(後編)
上手な人間関係を築くコツ、3回シリーズの最後となります。
前編は、
①人間関係で問題が起こるのは、ごく当たり前で「自然」なこと。
②「ちょうど良く」バランスの取れた関係を目指す。
中編は
① 自分の気持ち・感情に気づく
② 嫌いな人がいる場合の対処法
をお伝えしました。
今回は、
① ハードルを低くして取り組む
②「よく聴く」ことの大切さ
について、解説します。
関係性が近いほど、ハードルは高い
大して親しくない人に何か言われても、あまり気にならないのに、
親しい間柄であればあるほど、ちょっとしたことでストレスに感じること、ありませんか?
私たちは、他人とは、それほど頻繁にケンカしませんよね。
でも、家族間・夫婦間・恋人同士では、頻繁に、人によっては毎日のように、クチゲンカや、いさかいを起こしませんか?
関係性が近いほど、親しい人ほど、受け入れるのは難しい
のです。
まずは、このことを、しっかり理解して下さい。
ハードルを落として取り組む
人間関係を円滑にしたいと思ったら、難しい関係から手をつけるのではなく、簡単な関係から行います。
例えば、夫婦仲を良くしたいと思ったら。
いきなり、夫婦の問題に取り組まないことです。
まず、生身の人間でなく、TVに出てくる人から始めるのも良いですね。
嫌いな芸能人がいたら、その人を観た時、どんな気持ちになるのか、自分の心を探ってみる。
- 自分はできないことを、あの人はできる、劣等感を感じたくなくて嫌だった
- 自分は礼儀正しいことに価値を感じる。無作法なあの人は、失礼に感じる
など、何らかの理由が見つかるでしょう。
理由が分かったら、
- 相手がどうのこうのではなく、自分に自信をつけよう
とか
- 『礼儀正しさ』に、こだわりすぎかな?もうちょっと、違う観点で人の良さを見つけてみよう
など、自分の考え方を変えることで、嫌悪感や苦手意識を克服していきます。
TVに出てくる人がクリア出来たら、
- 友達何人かと食事をしている時、どう感情が動くのか見てみる。
- 次は、職場の人間関係で、試してみる
というように、だんだんとハードルを高くしていき、十分に練習ができてから、夫婦仲に取り組むようにします。
このように、いきなり難しい関係に取り組んで挫折するのではなく、簡単な関係から取り組んでみて下さい。
失敗したら、もっとハードルを下げて、「今、確実にできること」から取り組みます。
「よく聴く」ことの大切さ
私たちは、どうしても、「自分のことを分かって欲しい」と、自分の話ばかりしようとしてしまいます。
でも、「よく話せる人」より、「よく聴ける人」のほうが大切なのです。
よく聴く人は、話す人の心を開くことが、オープンにすることができます。
「この人は、私のことをわかってくれない」と思うと、相手は心を閉ざしてしまいます。
でも、「この人は、私のことをわかってくれる!」と思うと、相手の心は開きます。
さらに、聴く側の心も、当然開いています。
お互いの心が開いているのですから、おのずと人間関係は良好になります。
「よく聴く」とは?
「よく聴く」というのは、話しをしている相手の気持ちを、そのまま受け取り、共感することです。
「職場でミスをしたんだ」という話を聴いた時、
私たちはすぐに、励ましたり、アドバイスをしてしまいがちです。
それは、共感ではありません。
共感とは、その人の気持ちに寄り添うこと。
「ミスをした」ことで、悲しみを抱いていたり、自分自身を責めたり、不安を感じていることでしょう。
その気持ちに寄り添うのです。
悲しんでいたら、「ミスをして、悲しいんだね」
自分を責めていたら、「自分を責めてしまうんだね」
不安を感じていたら、「ミスをしたことで不安になっているんだね」
これが、「よく聴く」ということです。
共感し、寄り添うということです。
その上で、必要があれば、励ましたり、アドバイスをするもの良いでしょう。
でも、多くの場合は、励ましやアドバイスはあまり必要ではなく、寄り添うだけで、相手は自然と元気になっていきます。
「よく聴く」ためには
私たちは、「自分の気持ちをどのように伝えるか」という教育は受けていますが、「聴く教育」はあまり受けていません。
だからどうしても、自分の価値観で人の話を聴き、
「それはおかしい」
とか
「こうしたら良いよ」
などと、自分の意見を押し付けてしまいがちです。
そういった、自分の価値観、意見は脇に置いて、ただ、相手の話を聴いてみましょう。
これが、「よく聴く」ということです。
でも、これは、練習が必要です。
「あ、自分の価値観や意見が出てきたな、ちょっと置いて話を聴こう」
何度も練習して、「自分」は脇に置いて、相手の話に集中してみましょう。
難しい人間関係でいきなり試すのではなく、簡単な関係から始めて、「よく聴く」を磨いてくださいね。
3回シリーズで、上手な人間関係を築くコツをお送りしました。
いきなり、「全部やろう!」と気負いすぎないで、できることから、試して下さいね。