我が人生、一片の悔いなし

 

「我が人生、一片の悔いなし」

先日、この言葉が頭に浮かび、感極まって涙が出ました。

 

心の底から、

「人間に生まれて良かった!」

「この人生を送れて良かった!」

 

と強く感じ、

同時に、そういった人生を送ることができたことに、感謝の気持ちがほとばしりました。

 

このように感情が動いのは、あるクライアントさんのカウンセリングがきっかけです。

 

毎日を真摯(しんし)に生きる

クライアントさんは、30代前半で学校の教師をされている方。

勤務する学校は、いわゆる「荒れた学校」。

 

情緒不安定な生徒さんが多く、

暴れる子、不登校になる子、自傷行為をする子など、毎日、問題が山積みの学校のようです。

 

子どもに問題行動がある時は、家庭環境に問題がある場合が大半。

この学校の場合も例外ではなく、親御さんが大変な状況である家庭が多く、

お子さんだけでなく、親御さんへの対応にも、苦慮されているご様子。

 

当然、先生たちの負担は大きいため、

お昼ご飯を食べる時間が無いことも、日常茶飯事とか。

 

教師の皆さんも、いっぱいいっぱいな状況で、

教育方針を巡って、教師間で意見が合わないというストレスも、抱えていらっしゃいました。

 

お話を聞いていると、

「まるで金八先生みたいな、ドラマ中の出来事みたいだな」

という印象です。

 

そんなストレス過多な職場で働きつつ、家に帰れば、未就学児のお子さんが2人いて、

感情を上手くコントロールできずに、子供を怒ってしまうことにも悩まれていました。

 

そんな状況下で私のカウンセリングを受けられるようになったのですが、

1回ごとに、どんどん変化されていきました。

 

まず、自分が抑圧している気持ちにしっかり向き合えるようになり、

無理をせず、自分を大切にできるようになられました。

 

自分が変わると、自然と周囲の人にも良い影響が反映されます。

 

生徒さん、親御さん、同僚の教師たち、ご自身のお子さん方など、
他の人の気持ちにも耳を傾けることが上手になり、

相手の気持ちを尊重して、物事を冷静に処理できるようになっていきました。

 

その姿は、まさにカウンセラー!

 

元々、思いやり深い資質を持てれていた方ですが、

そこに、冷静さ・度量の広さ・思慮深さ等が加わり、

他の人に、良い影響を与えるようになっていきました。

 

そして、自分のことを俯瞰して観られるようになっていくと、

自分の仕事・職場のことが「好き」であることに、気づかれたそうです。

 

それまでは、職場でも家庭でも、

「しなければならない」

と、義務感で満身創痍になり、

 

仕事が好きなのか、
やりたくてやっているのかが、

分からなくなっていたのです。

 

でも、義務を手ばなしてみると、

教師の仕事が好きで、誇りを持って務めていたことに、気がつかれたそうです。

 

そして、大変な職場ではあるけれど、

学ぶことがたくさんたくさんあって、気が付くと自分の心は成長している。

そして、生徒さんや親御さんと、深い部分で心を通い合わせることでき、

同僚の教師の皆さんと切磋琢磨し、一体となって働くことができることに

喜びを感じていらしたそうです。

 

そんなことをお話しされているクライアントさんは、

お試しカウンセリング時とは打って変わって、

明るく、ハツラツと、「凛」としていて、

とても力強さが伝わってきました。

 

聴いている私も、嬉しく感動して、涙が出そうになりました。

 

人間が、真摯(しんし)に生きている姿、

完ぺきではない人間が、くじけず諦めず、

善き人間になろうと、真摯に自分と向き合い、人と向き合い、

昨日より今日、今日より明日と、一歩一歩進んでいる姿を目撃したからです。

 

自分の人生に、一切の悔い無し

カウンセリング中は涙をこらえましたが、

終わった後は、1時間くらい泣きました。

 

初めは、「とても良いお話を聞けた」という感動でしたが、

そのうち、自分のことに想いを馳せ、タイトルにもなっている

「我が人生、一片の悔いなし」

という想いが、溢れ出ました。

 

このクライアントさんが、真摯に生きているように、

 

私は、自分の人生を真摯に生きてきて、

今この瞬間も、真摯に生きていると、

一片の曇りもなく、胸を張って言える!

 

と思えたからです。

 

今までの人生の中で、辛いと感じたことは多々ありますし、

今も強い体調不良があり、日常生活にも大きく支障が出ている状態です。

 

でも、心の底から、

「自分の人生を歩めて良かった」

と、100%言えます。

 

心を育て鍛え、真理を体得するために、
自分なりのベストを尽くし、
真摯に生きてきた

と、一片の曇りなく断言できます。

 

もちろん、人に言えないような不適切なことも、たくさんしてきました。

怠けたことも、たくさんありました。

人を傷つけたことも、たくさんありました。

 

それでも、真摯に生きたと断言できるのです。

 

数か月前までは、そんなことは言えませんでした。

「できない、ダメな部分」を考えてしまうからでした。

 

「まあ、頑張って生きてきたけれど、至らない点も色々あるよね」

そんな感じでした。

 

今は違います。

自分がどれだけ真摯に生きてきたかを、100%認めることができます。

至らない点はあっても、後悔は一片も無いのです。

 

そう想えた時に、とても大きな喜び、満足感、安らぎを感じました。

そして同時に、強い感謝の気持ちも生じました。

 

自分の人生を歩ませて頂いたこと

人間として生まれ生きたこと

 

そのことに、強い強い感謝が生じました。

そんな想いにあふれ、カウンセリング後は1時間ほど泣きました。

 

でも、全ては、生じては変化して消えてなくなります。

 

1時間たったら、そういった想いも小さくなり、このコラムを書いている今は、無くなっています。

 

それで良いのです。

結局すべては、生じては変化し消えていくのですから。

 

ただ、あるがまま現実・現象を受け入れていれば、

心は安らぎ、

自分の人生に満足でき、

「我が人生、一片の悔いなし」

に繋がるのです。

 

さて、このクライアントさんですが、
恐らく、何事もなければ、あと30年ほどは教師を続けられることでしょう。

きっと、ますますご自身の心を高められ、

たくさんの生徒さん、親御さん、同僚の教師の方々に、良い影響を与え続けるのだと思います。

 

私も、これから、何人の方とご縁があるかわかりません。

でも、怠ることなく心を鍛え、ご縁のある方々に良い影響を与えられるよう、

今後も真摯に生きていきたいと思います。

 

私は、真摯に生きるこのクライアントさんのことを、

「同志」に感じます。

仏教的には、「善友」ですね。

 

心を高め合い、真摯に生きる、善き友のご活躍を、祈っています。